加須市花崎駅という宅地化が次第に進みつつある平坦な田園地帯に、シンボル的な塔をもつこの建物は白い「青年の家」として建てられた。高度経済成長期を迎える当時の国の政策で全国に「青年の家」が順次建築された。その後、2003年に県内各地に点在していた少年自然の家と青年の家を「げんきプラザ」として子供から大人まで利用できるように統合した。坂倉建築研究所は県内に2つの「げんきプラザ」を設計している。山深い名栗にあるげんきプラザは少年自然の家として建築された。双方の建物デザインを比較すると、加須げんきプラザには洗練された細やかなデザインがいたるところに見られる。それらは都市化時代を迎える青年達にあるべき姿を促しているようにも思えるが、今もそのデザインはいろいろなメッセージを発信している。たとえば、白い壁は一見単調に見えるが、外光が蔭るとタイル模様が浮かび上がる。室内に入ると、洗練された空間が広がっている。各所に隠されたメッセージを探してみてほしい。
維持管理、運営の特徴
所有者と運営団体:埼玉県
過去の大規模改修など:最近、設備機器の更新がなされ、同時に建物全体の清掃も行われ、この建物の特徴である釉薬タイル壁の輝きが戻った。
星空観察からピザづくりまで、プラザを使いこなすイベントが様々に開催されている。テニスコート、運動場、体育館もあり、スポーツ活動の利用も多い。
周辺の見どころ
周辺地域は東武伊勢崎線の花崎駅を中心とする新興住宅地として着実に整備されてきた。最寄駅とする平成国際大学や高校などが立地する。近くには県営花崎公園やサトエ21世紀美術館もある。加須市内には訪ねたい建築が多数点在している。
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文:若林祥文 写真:若林祥文、STEP-image太田まさお