秩父盆地の真ん中にあり、セメント原料である石灰の山・武甲山に正対している。この建物は戦後の復興を支えてきたセメント産業の姿をよく表している。秩父の街はセメント工場からの粉塵に悩まされていたが、会社は公害の発生させない新工場を実現した。コンクリートとレンガ色の壁、曲線の屋根、明るく簡潔なデザインの工場棟。現在の工場の姿は増築や改修などがかなり進んだままだが、原設計の雰囲気は色濃く残っている。正面入り口の守衛所の屋根のデザインはどこかで見たように思うが、きりっとした表情だ。秩父鉄道線路に接しているので、車窓から工場群の建物をまじかに見ることができる。
維持管理、運営の特徴
所有者と運営団体:秩父太平洋セメント
周辺の見どころ
秩父盆地を取り囲む山々からこの工場を見ると、盆地の海に浮かんでいるようだ。また、荒川に架かる秩父橋からの眺めも素晴らしい。
写真:若林