4月つくたま塾「ジョンソタウンにおける家族住宅とコミュニティの発展的開」の報告

つくたま塾 2014年4月1日 19時10分~20時25分の記録

◎講師:渡部治氏(日本工業大学非常勤講師、ジョンソンタウン建築顧問、渡辺治建築都市設計事務所)
磯野氏 (磯野商会社長)

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◎タイトル:「ジョンソタウンにおける家族住宅とコミュニティの発展的開」

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◎ジョンソンタウンを考えるいくつかの視点
○ディペンダント・ハウスとは、
IndependentのInが取れただけという説明もあるが、「占領軍住宅」「扶養住宅」という訳もあるが、どれもしっくりとしない。(Abilities (できる)の反対語としてDisがつくとdisabilities:障害者という意味になる。なので、Inを取ることによって、「占領 」と翻訳したと思われるが、アメリカが日本に来た本来的な意味は、「独立させる」または、「解放」させるだった。と仮定すれば、震災の後の、「復興」という意味が託されていたとも考えられる。)

○現在の「ジョンソンタウン」は米軍が占領し、使っていたジョンソン基地外にできた米軍家族向けの賃貸住宅である。それは、朝鮮戦争時における兵力増加に対応して、米軍が基地外に、日本人が建設した建物を借り受けるように進めた。
・入間では、磯野家が戦前に所有していた土地の一部8000坪が日本軍の将校向け住宅団地になっていたのを、米軍家族向け住宅を地元の吉澤建設が建築し、賃貸にした。1カ月の家賃は31,000円であり、1年でほぼ元が取れた。早いと1週間程度で建設できるのでベニヤ御殿とも揶揄された。
・    建物の仕様は、GHQが示した通りにする。その根拠は、アメリカ政府による第2次世界大戦後の住宅建設基準が参考にされた。

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・    更に、アメリカの開拓時代の住宅建築に遡ることができるだろう。1700年代のニューイングランドの開拓地にルーツがあるCape Cod House(イギリスから渡ってきた巡礼者が海辺の高台の雨雪風が強く吹き付ける土地に建てたもので、屋根の傾斜は雪が落ちやすい角度としてある。土地に生えていた樹木を板状に裂いてつくった、最少部材、最少労力の家)

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・    大恐慌時代1935-36に、ニューデール政策のもと、アメリカ政府が移民たちに大量の住宅供給をした。その時RA局(Resettlement Administration:再住居局)が設立され、その設計が行われた。ちなみに、ルイス・カーンもここで住宅設計をしていた。

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・    Levittown : 世界大戦直後、アメリカ本土でも、戦争で家族が作れなかった若者のために大量の家族住宅が民間によって供給される。州から支援されるが、支援する条件として黒人を住まわせないことという条件が付されていた。Levittownでは、Cape Code House の様式が意識的に使われているが、合理的で安価な建物であったことがその理由であった。基本的に平屋で、天井裏の空間には、居住者が寝室をつくれるようにがらんどうにして供給された。(安価で土地付の住宅を供給することが最優先された)

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○田園都市 フォレストヒルズ・ガーデンズ NY州ラッセル・セージ(莫大な財産を相続した鉄道王の未亡人が財団をつくり、社会改革のための調査や実践をしている)
「未来をつくる子供たちへの投資、過去をつくった高齢者の福祉、今をつくっている若者たちのまち」
(ここに住んでいたクラレンス・ペリーは、ここで生じているコミュニティに着目し、「近隣住区理論」を唱えるにいたる。)

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○    都市型住宅 Sunnysaide Gardens
クラーレンスタインらがNYで供給した、都市型中層住宅。
住宅地や住宅の計画には、結束の強いコミュニティをつくるデザインが試行錯誤された。
集合住宅において、各階の平面計画に、持ち主が賃貸できる部屋を用意して、安定した持ち家になるようにした。コの字の集合住宅地計画をして、外から見えるようにして乱雑な利用をおさせるようにした。この配置がジョンソンタウンの平成ハウス棟の配置に用いられている。(この住宅地には、ヘミングウェイが住んでいた)

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○住宅建設の工法について
・ペリーが幕末に持ち込んだ下見板の概観やクラーク教授とともにやってきたホイラ―が北大に持ち込んだバルーン構法(ツーバイフォーの原型)。その工法を北大で学んだ阿部美樹志は、戦災復興院総裁の立場で進駐軍ハウスを指導。
・    小屋裏は4間のトラスで、地面で組み立てた後に屋根に載せ、根太と下地を貼ると、小屋組用の足場を使わないようにした。

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◎    現在のジョンソンタウンは

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・家賃は15万円以上。周辺家賃の2倍。しかし、儲かっているわけではない。ゆったりとした緑の多い環境が形成出来ている。
・    塀がなく、個別の庭はない。したがって、会話が生まれる。
・    仕事、趣味、犬、たがいのお店などによってコミュニティが生まれる。
・お店利用の要望は強いが、住宅を大事にしたいので、車の通行する区域内道路沿いに制限をしている。
・ICTや口コミによる宣伝をしている。
・平成8年から現在の社長が引き継いだが、当時はスラム化だった。それを根気よく住民交渉をして現在の環境を形作った。
・当初から家賃は15万円だった。半年間は入居者がいなかったが、映像監督T氏が入居してから、芋づる的に入居者が出てきた。
・渡辺さんはその当時から住宅地の全体計画、平成ハウスの設計、街路計画などの環境改善や住宅改良に関わった。
・外部の空間は利用制限をしているが、建物内部はSelf-buildを薦めている。古材の提供や技術的な相談などに応じている。
・平成ハウスは、床暖房にしている。断面は従来の米軍住宅+H200とし、屋根裏に居住できるようにした。平成ハウスは窓枠の高さ50cmの縦滑り窓であるが、本来のアメリカ住宅を意識したなど。
・当初から、障害者の方向にバリアフリーとし、安全安心タウンを目指している。
・先代の時に、敷地内の一部を譲渡してしまったが、今後も買い戻しを進めていきたい。
周辺の土地ですでに買い足した部分もある。
現在は、障害者の方も住むようになった。

記録:若林
当日は、磯野社長が飛び入りで来ていただいた。大変、有意義な集まりになった。
渡辺先生のお話は、戦後の住宅及び住宅地に関する計画の常識を疑ってみることから始まった。今の住宅及び住宅地の計画に必要とされるのは、新しい福祉の視点だろうし、コミュニティのあり方だろう。その点、アメリカが大きな時代の変わり目に、住宅に家族の視点を強調してきたという指摘は大いに参考になる。(「家族」の定義は、「非核家族」)

つくたま6月例会&つくたま塾「都市農地保全のまちづくり」のお知らせ

水口さんの写真都市づくりNPOさいたま・6月例会&つくたま塾の日程が決まりましたので、お知らせいたします。

【つくたま6月例会】
日時:6/25(水) 18:30~19:00
場所:浦和コミュニティセンター 第8集会室 (コムナーレ10F)

【つくたま塾】
日時:6/25(水) 19:00~21:00
場所:浦和コミュニティセンター 第8集会室(コムナーレ10F)
題名:「都市農地保全のまちづくり」
講師:水口俊典さん
芝浦工業大学名誉教授/一般財団法人都市農地活用支援センター理事
費用:500円(資料代)
申し込み:つくたまホームページ問い合わせフォームから、氏名、連絡先(メールまたはFAX)をご記入の上、お申し込み下さい。
内容:
見沼田圃をはじめとした農地が市街地と共存しているさいたま市にとって、都市農地の保全・活用は、市街地環境や生活スタイルに関わる大きな課題です。
しかし、生産緑地の当初指定から30年になる2020年までには、市街化区域内の農地は壊滅する可能性があると言われています。それを防ぐためにはどんな方策があるのか、市民のやれることは何か。

この問題の第一人者である水口俊典芝浦工業大学名誉教授を招いて考えます。

5月例会のお知らせ

都市づくりNPOさいたま・2月例会の日程が決まりましたので、お知らせいたします。

【つくたま5月例会】
日時:5/13(火) 19:00~21:00
場所: さいたま市市民活動サポートセンター
内容:
・つくたまアクションプラン-ワーキンググループの設置について
・ホームページの改訂について
・つくたま塾&研修旅行の企画について

4月例会&つくたま塾「ジョンソンタウンにおける 家族住宅とコミュニティの発展的展開」のお知らせ

都市づくりNPOさいたま・4月例会&つくたま塾の日程が決まりましたので、お知らせいたします。

【つくたま4月例会&つくたま塾】

◆つくたま例会
日時:4/1(火) 18:30~19:00
場所: 浦和コミュニティセンター 第7集会室
(コムナーレ10F)

◆つくたま塾
日時:2014年4月1日(火) 19:00~21:00
場所:浦和コミュニティセンター 第7集会室
(コムナーレ10F)
題名:「ジョンソンタウンにおける 家族住宅とコミュニティの発展的展開」
講師:渡辺治さん 日本工業大学非常勤講師、ジョンソンタウン建築顧問
渡辺治建築都市設計事務所OSAMU WATANABE ARCHITECTS
https://www.owat.net/
費用:500円(資料代)
申し込み:つくたまホームページ問い合わせフォームから、氏名、連絡先(メールまたはFAX)をご記入の上、お申し込み下さい。
https://www.tsukutama.info
チラシはこちら
内容:
入間市にあるジョンソンタウンをご存知ですか。第2次世界大戦後にアメリカ軍が進駐し、その兵隊たちの家族向け住宅地が、現在おしゃれな住環境を形成しています。講師の渡辺治さんは、現在団地全体の住環境の指導や平成ハウスの建設を担当されています。質の高い賃貸住宅地経営がされており、周辺家賃よりも相当高いのに、入居率はほとんど100%です。
今回の塾では、注目のジョンソンタウンを舞台にしてお話をお聞きします。米軍ハウスの目指していた質が現在の住宅のそれと比べてみるという視点もあります。これからの住宅やコミュニティのあり方も考えてみたいと思います。

ジョンソンタウン米軍ハウス外観 ジョンソンタウン案内看板 ジョンソンタウンバス ジョンソンタウン道路景観

1月つくたま塾「都市の中で《できごと》をつくる意味」の報告

つくたま塾 2014年1月24日 19時~21時の記録

◎講師:鷲野宏氏(アートディレクター、都市楽師プロジェクト主宰)

◎参加者:10名

◎タイトル:「都市の中の「できごと」をつくる意味」

IMG_4752  ・さいたま市大宮駅近くで育った鷲野さんは街の奏でる様々な音に囲まれていた。大栄橋を通過する自動車の音、国鉄大宮工場の車両整備の音、夕方からのつやっぽい音、氷川参道の大きな樹木が揺れる音など。目で見える景色に音がかぶさり、豊かな街を味わった。

・都内を中心に音に絡んだイベントを紹介していただいた。

・都市楽師とは、吟遊詩人を思い浮かべるとよいらしい。

・出来事がハレ・非日常とケ・日常の間を行ったり来たりすることがねらいらしい。

・音のイベントのねらいは演奏をおとなしく聞く状況をつくるのではない。その場を顕す音の状況を明らかにする。隠れた音の置かれた状況をえぐり出すような作業だ。

・音は見えないからいろいろな意見がある。そうした意見を乗り越えていくことも鷲野さんのチャレンジだ。

・このイベントに面白と付き合う演奏家との出会いも大事だ。神田川の名橋を舟で巡り、声楽家が橋の下、道路の騒音などの中で、演奏する。

・求道会館、代官山ヒルサイドテラスなどの音の出来事は個々人の思いをひとつに再構成するようだ。

・青山学院大学の新入生歓迎の音の風景はよかった。学園を構成する複数の建物の由緒を音で表わしていく。学生たちは音と建物でシンボライズされた空間を楽しむ。

・音の演出は、精緻なプログラムで構成される。しかし、その時の天候などの変化や参加者の属性によって、まったく異なる条件が発生してしまう。ローレンスハルプリンが作成したパフォーマンスの進行プログラムに似ていた。時間を設計する試みだろう。

・子供たちが参加する音の地図を作製するイベントが2月に都内、代官山で開催される。これからさいたまの多くのまちかどで、音を発見していくことをしてみたい。(文責・若林)

1月例会&つくたま塾「都市の中で《できごと》をつくる意味」のお知らせ

都市づくりNPOさいたま・1月例会&つくたま塾の日程が決まりましたので、お知らせいたします。

【つくたま1月例会&つくたま塾】

◆つくたま例会
日時:1/24(金) 18:30~19:00
場所: 生涯学習総合センター(シーノ大宮)
9F・学習室2

◆つくたま塾
日時:2014年1月24日(金) 19:00~21:00
場所:生涯学習総合センター 学習室2
(シーノ大宮9F)
題名:「都市の中で《できごと》をつくる意味」
講師:鷲野 宏さん アートディレクター/都市楽師プロジェクト主宰
費用:500円(資料代)
申し込み:本ホームページの問い合わせフォームから、氏名、連絡先(メールまたはFAX)をご記入の上、お申し込み下さい。
内容:
その場らしさを特徴づける建造物や都市空間を舞台にした「音のイヴェント」と してのアートプロジェクト事例を紹介しながら、「ことのデザイ ン」が、都市  環境デザインに作用する可能性について探ってみたいと思います。サウンドス  ケープの視点も織り交ぜ、日本橋の歴史の積層を体感す る作品「名橋たちの音  を聴く」を中心に、幾つかの都市楽師プロジェクトが企画してきた歴史的建造物  での事例などを紹介。私たちのまちをハード とソフトの連鎖で丁寧につくり・  つかい続けるために、「できごと」をつくっていくことの意味について考えてい きます。
——-
ちなみに、歴史的建造物では、
重要文化財「三井本館」や都指定文化財「三越本店」、東京都指定名勝「旧安田 楠雄邸庭園」での事例を、
その他「代官山ヒルサイドテラス」界隈での「猿楽祭」と「代官山インスタレー ション」や
サウンドスケープの視点でリニューアル進行中の大分県竹田市にある「瀧廉太郎 記念館」についてもお話してみようと思いますが、
途中からご参加の皆様との意見交換ができれば幸いです。
チラシ>> https://www.tsukutama.info/download/juku20140124.pdf

2月例会のお知らせ

都市づくりNPOさいたま・2月例会の日程が決まりましたので、お知らせいたします。

【つくたま2月例会】
日時:2/18(火) 19:00~21:00
場所: さいたま市市民活動サポートセンター

詳細につきましては、決まり次第お知らせいたします。

12月例会のお知らせ

NPO法人都市づくりNPOさいたまの12月例会を開催いたします。
総会を受け、諸事、検討を進める必要があります。会員の皆さまにおかれましては、ご出席の程、よろしくお願いいたします。

【つくたま12月例会】
日時:12/6(金) 19:00~21:00
場所:さいたま市市民活動サポートセンター

<報告>
・平成25年度定例総会
・上尾区画整理公園プロジェクト
・つくたま塾(1/24)

<協議>
1.情報紙について
2.アクションプランについて
3.ホームページについて
4.景観整備機構としての活動方針について
5.その他

定期総会(11/22(金))のお知らせ

NPO法人 都市づくりNPOさいたまの定期総会を、以下の日程で開催いたします。

会員の皆さまにおかれましては、万障お繰り合わせの上ご参集下さいますよう、お願い申し上げます。

日時:2013年11月22日(金)18:00~

場所:浦和コミュニティセンター第6集会室